「教育実習で1時間の授業を考えるのにあれだけの時間をかけたのに、毎日5時間も6時間も授業するなんて、考えられない!」
「授業中のルールってどんなものが必要なの?」
そんな疑問をもっている方も少なくないのではないでしょうか?
今回はベテラン小学校教員K先生に、各教科のポイントから授業準備の仕方、そして授業の土台となるルールについて伺いました!
※本記事は2021年2月9日に行われた教員0年目サークルzoom会の内容を基にしています。
各教科の授業で大事にしていること
国語
単元のゴール,その過程全てを子どもが決められるように。
・目標は「~しよう。」と教師が設定する。→それをするには,どんなことをすればいいかな?→ゴールは? と子どもたちと決めていく。
・子どもが自分たちで学習を進めていくことにつながる。
*立てた学習計画は,模造紙などに可視化。
自分たちで計画を立てることで、学習意欲もアップしますね。させられる学習から、みずからする学習へ転換すると思います。
算数
日々のスモールステップで課題を設定
問題文を確認し、前の時間との違いに気付けるようにする。そこから課題の設定をしていた。
社会
「全体の流れをつかむことを大切に、人に着目していた。」
・単元全体の流れをつかむ意識→その1時間だけでなく,その前後とのつながりも意識できるようにする。
・中学年から特に人に着目するようにする。「人の想い」に着目。
なぜ、「人」に着目していたのでしょう?
理科
「単元を貫く問題意識を育てる」
・児童の問題意識の中から,どのように予想を立て,実験をしていくかのを考えていた。
生活
「子どもの生活経験を重視して進める」
・これまでの生活歴(家庭や幼保)が大きく関ってくる
・北海道では,雪遊びが定番でよく遊んでいる…かまくらづくり,秘密基地づくり
音楽
「学年に応じた授業開始後のルーティーンをつくっていた」
(例)リズム打ち(全学年に共通してできる),演奏,歌,貨物列車
リズム打ち
◆=タン ◇=ウン
「 ◆◆◇◇ 」 「 ◆◆◆◇ 」
→こういったカードをあらかじめ作っておく。
反対にしてみたり,足でやってみたり,八分音符にしてみたり工夫して活用
*ピアノは少し弾けたほうがいいかも…発声練習程度は(ドレミファソファミレド〜♪)
図工
「課題に応じた指導をどれだけ具体化できるか!」
・書き方 ・道具の使い方 等
(例)顔を書いてみよう
× 丁寧に,ゆっくり
◎ 紙の真ん中に鼻を書いてみよう
何かを伝える際に、それを具体的にし、その児童にあった言葉を選ぶというのは、すべてに共通してきますね。コミュニケーションとして大切なことですね。
体育
「場の設定と学び合い」
場の設定はいのち!!!
→これがうまくいかないと,無駄な行列(練習の時)ができたり怪我の危険が高まる
場の設定には、動き方や危険行為に始まるルール作りや、全体的な雰囲気作りなどなど様々なことが含まれそうです…
外国語活動・外国語
「とにかく楽しくコミュニケーション」・・・それから学習の必然性を感じられるように
道徳
教材から離れ、実生活と結びつくタイミングがポイント・・・例えば、ルールを守れないなどの、「何かをできていない自分自身のこと」も児童が許容できるように。
特別活動
行事を通して目指すべき姿を子供と共有していました。
授業準備の仕方
1日5~6時間の授業。
空き時間なんてほとんどないし,
放課後も会議や分掌業務が入るし,
テストや宿題の丸付けもあるし,
通信も作りたいし,あと…
明日の授業の準備!
授業は明日必ずやってきます。毎日追われていましたね。ずっと受験勉強をしているような気持ちでした笑
ですが、放課後は自分の授業のことよりも、学校全体に関わる仕事を優先しなければならず、もどかしかったです。
まずはあるものをフル活用!
教科書についてくる、教師用指導書。ワークシート集。板書計画の例。
・その道の専門家が作っています。指導書の流れに沿って進めていけば大丈夫。
・先生たちはよく使っている。
・ワークシートのCD―ROMも付いています。
引け目を感じず、ぜひ使って!!
あったら便利!
「板書で見る全単元・全時間の授業の全て」シリーズ
特に、体育の場づくりと、理科は参考になりますよ!!
- 指導書には,なかなか書いていないことも書いてありました!
- 値段は張るが,一年間使えると考えたらコスパ良し!
必要に応じて,参考になる本を探して活用しましょう!
・体ほぐしに関すること・・・「すぐ使える体ほぐしの運動136選」
・プールに関するもの・・・つまずき解消!クイック水泳上達法
どんなに忙しくとも、これだけは
これだけはしておくといいです。それは、、、
板書計画!!
実際の授業の黒板↓
板書計画をつくるメリット
- 授業の流れが把握できる
- その時間の準備物が分かる
- 主な発問が明らかになる
- 何より自分の心が落ち着く!!
できるときにできる分だけ。最低でも前日までには、考えましょう!
マストではないが,やらないよりはやった方がずっとましです!
授業中の4つのルール
(1)授業時間
①授業開始 1分前には子どもの前に
そのために授業準備は用意周到に。
最初の頃は,着席しない子もいるかも→毅然とした態度で,最初のうちに指導を。
K先生の理想的な5分休みの流れ
・まずは次の時間の準備を済ませる
・トイレや水分補給、そしてリラックス
・授業1分前には子どもたち同士で声を掛け合い着席する
・それらを教師は笑顔で見守る
②授業の終わり
チャイムは絶対!
…チャイムなったらどんないい授業も子どもの頭の中には入っていかない!
子どもとの契約と考えよう!
- 子どもから休み時間を奪わない
- 終わらなかった分を宿題にしない
- 終わらなかった分は次の時間に
- 40分授業,5分振り返り
- 逆算して授業計画を
★授業をしながら45分の感覚を養う。時間を守る。→子どもからの信用を得ることに!
(2)学習用具
- 常に机の右上においておく…上部から,消しゴム,鉛筆,定規のみ(学年に応じて赤鉛筆や赤ペンを追加)
- 授業前に出しておくもの…上記のセットの下に,教科書とノート
(例)
(3)姿勢
姿勢を正すことは,お互いに対する礼儀
- 授業の最初,終わり,大事な場面
- 書写など丁寧に書くとき
1年生は合言葉で定着させよう!・・・腰ピン 足ペタ グーひとつ
45分間ずっと立派な姿勢は大人でも辛い!最低限でいい。カリカリせずに適度な指導を!
(4)話し方・聞き方
話をするとき
・声の大きさ ・話す速さ
■話型は最低限に
なぜなら、子どもの「話したい!」思いを補助することが目的だから。学年の発達に応じてサポートを!
■挙手はすべての子に発表する機会を保証するためのもの
×「発表してくれる人?」では引っ込み思案の子は挙手ができない
◎「書き終わった人?」にすると、事実に限定されるので挙手しやすい
みんなが発表しやすい手立てを!!
話を聞くとき
・相手の方を見て ・うなずきながら
授業で大切にしていること
3つの目で子どもを見る
①鳥の目・・・広く俯瞰して全体を見る
②虫の目・・・一人ひとりを落とさず,個に目を向ける
③魚の目・・・流れを読み,子どもの思考に沿って
まとめ
各教科の授業のポイント、授業準備の仕方、授業のルールについて詳しくお話しいただきました。授業準備として、板書計画をつくっておくというやり方は、具体的で印象に残りました!
初任者が最初苦労するのがルール作りだと思います。全校で統一されていない場合もあると思うので、今回紹介していただいたルールを参考に、自分の学級での授業ルールを考えておくのは、とってもおすすめです!!
また、長いご経験のあるK先生も板書計画を大切にしておられたり、本を購入して学んでおられる、という姿勢に刺激をいただきました。成長し続けている大人ってとてもかっこいいですね!
K先生、ありがとうございました!!