「中学生との関わりって難しそう。」と不安をおもちの方も多いのではないでしょうか?
担任としてどのようなことを心がければよいのでしょうか?
今回は、現中学校教員H先生からお話をお伺いしました。
※本記事は2021年2月6日に行われた教員0年目サークルzoom会の内容を基にしています。
ゲスト紹介
現中学校教員H先生
科目:数学科 職歴20年以上
若いときは学級経営にとても苦労したのでその経験を踏まえて,0サーに参加されている皆さんに話をして,何かしら伝えることができれば・・・!
学級運営で大切にしていること
学級経営には,”これが絶対”というものはない!!
先生一人ひとりに合った方法が必ずあります。他の先生の真似をしても上手くいかないこともありました……。数えきれないほどいろんな方法があるという事を前提に,学級経営について考えてほしいと思います。
①生徒理解
方法:生徒の観察(H先生は、生徒理解のために、とにかく観察を大切にしていました。)
まずは生徒の様子をよく見ることで,のちに生徒指導にも活きてきます!
もしも、観察をしないで,生徒理解を怠ると…
- なぜか上手くいかないことが増える
- 教師の勘違いや押し付けなどが起こりやすくなる
- 子どもたちと信頼関係が築けない
……などのことが起きる可能性があります
②担任として2つのことを心がける(心構え・姿勢)
(1)言行一致・・・言っていることとやっていることを一致させる。
- 昨日と今日,数か月前と今など言葉と行動が伴わないのは,絶対にダメ!
- 矛盾によって信頼関係が崩れる一因にもなる。→荒れへとつながる
(2)首尾一貫・・・自分のビジョンを貫き通す。
- 学級経営でどういうクラスにしたいか目標を考える。
(例)ここまで成長させたい!1年間で~したい!など
- 考えた目標を最後まで貫き通す。→信頼関係の構築へ
- 一貫していないと信頼関係が崩れる一因にもなる。→荒れへとつながる
有言実行じゃない人は信頼もなくなっていく。不信感につながることもありますね。
担任の1日(H先生の場合)
時間 | やること | |
7:00頃 | 学校に行く 職員室で仕事を始める | ・若いころは,遅く行き,遅く帰る。 ・現在は,早く行って,早く帰る。 ➡夜の1時間より朝の1時間の方が仕事がはかどることが分かったから。 ➡効率のいい仕事ができる! |
7:40 | 教室に行く | ・生徒観察開始! 【フリーな時間は子どもの素の姿が見えやすい】 (例)早く登校している生徒は? ➡早く来て何をしている?➡本を読んでいる➡どんな本? この子は支度が早いな! 友達との関わりは?関係性は? ・観察しながら提出物や日記チェック ➡他の時間に仕事ができるように,なるべくこの時間に終わらせる。 |
8:00 | 自習時間(読書) | ・落ち着いて学校生活をスタートできるように! ➡朝は静かに読書をするという決まりを守れるよう見守り,声をかける。 |
午前授業 | 授業等 | ・コマ数は,大体29コマ中20コマ前後 ・中学校は、1週間の空きコマが多い。 ➡毎日1コマくらいは空きがある。多いときは2、3コマの時も! ➡ノートチェック等をする ・教室に行かない限りクラスの状態は分からない ➡他の先生との雑談の中でクラスの様子を聞き,知る。 ➡気になる子は見守ったり,声かけや日誌などで関わるようにする。 |
給食 | 現在1年生の担任 …年度初めの給食指導が大変!四月にしっかり指導することが必要 ➡準備の仕方/給食室への行き方/整列の仕方/着替え/片付けなど… | |
昼休み | 教室で子どもを観察 | 「休憩の時間」と言われるが…子どもの素の姿を見る大切な時間 ➡友達関係/遊び方/特徴/性格/得意な事/係の仕事/人間関係… 色んな情報をキャッチ!! |
掃除 | ||
午後授業 | ||
帰りの会 | ||
部活動 | 今はコロナ禍で短縮されていて,少ししかやっていない。 子どもたちも17:30には帰宅。 | |
17:30 | 残っている仕事を終わらせる。 | |
19:30 | 帰宅…この時間に帰るようにしている! |
これから先生になるみなさんへ
【意識するといいこと】
①同僚の先生から学ぶ
- こういう先生になりたいというような憧れの先生を見つけると良い!
今の自分の教育観とか、軸を言葉にできそうですね
②職場以外の人から学ぶ
- 0サーの様なコミュニティに参加する
- 本を読む・・・教育書に関わらずそれ以外でも◎
→本を読むのが苦手で大学生の時本を読まなかったことを後悔している…
③子どもから学ぶ
- 子どもから学べるものだと考えて現場に立つ
➡自分にもないような志を持っていたり,コツコツと努力している姿を目にすることも
【実際に実践していること】
- 毎日の生徒観察…学級経営に存分に活かすことができる!
- 学級日誌…日直が書く→担任がチェック→備考欄にメッセージ書く
➡メッセージには、その日の学級の様子(生徒の行動/学級のためになったこと/善い行い/出来事など)のなかで,良いと思ったことを必ず書くと決めている。
【学級日誌の実践をして思ったこと】
- 担任の想いが子どもたちにじんわりと伝わっていく…日直が回るごとにじわじわと。
中学校の担任はずっと教室にいないので,言いたいことがすぐに言えるわけではない。日誌を使うことで、言葉で直接伝えられなくても,文字でも間接的に伝えることができる。そして、先生はちゃんと見ているよ、という事を伝えることができるツールでもある!
また、思春期の生徒は、良いことでも人前で褒められることが嫌な場合もある。
- 毎日見る自分自身にとって最大のメリット!
毎日メッセージを書くので,今日は何を書こうか,子どもたちはどんな姿を見せてくれるか,どんな出来事があるか,考えるとわくわくするし、とてもたのしいと思える!
Q&A
Q1.何か役職についていますか?
A. 去年3年生を担当していた時,進路指導主事や現職の主任をしていた。
Q2.生徒は毎日日記を書いていますか?
A. 毎日です。時間割と日記を各項目がノート一冊にまとめられている教材があるので,日記はそれを使用しています。
Q3.勤務時間はどのようになっていますか?
A. 学校によっても異なるが・・・8:00~16:30。
実際は7:00~19:00で勤務している。
Q4.職員会議はいつ行っていましたか?
A. 基本的には月に1回。夏(8,9月)は二カ月に1回。現状,2月までで10回実施された。
Q5.初任者は部活動を選ぶことはできますか?
A. 一応希望は出すが,ほとんど選べない。できることとできないことは,はっきり言う。
Q6.生徒を観察しているとき,一人でいる生徒はどのように対応しますか?
A.輪に入りたくてもできない子もいるので,しっかり観察して目配せしておく。毎日の日記などを活用しやり取りすることで,交流する。例えば、廊下ですれ違ったときに積極的に話しかけたり。
Q7.去年からコロナ対策のために大きく変わったことはありますか?
A. 初めの頃は,消毒作業がたくさんあった。現在は,子どもの係活動に組み込まれているので作業量は格段に減った。
Q8.子どもから学んだ具体的なエピソードを教えてください。
A. 文化祭など大きな行事の中で,子どもたちは突拍子もない提案をすることもある。不安はありながらも子どもたちを信じて任せてみると大成功したこともある。
➡できるかできないかを考えて行動することは良くないと痛感。
保守的になりすぎず “とりあえずやってみる“ ことの大切さに気付かされた
Q9.おすすめの本はありますか?
A.学級経営の勉強におすすめの本!
Q10.尊敬する先生,憧れる先生はどんな人でしたか?
A.今は校長先生になっている先生。
➡授業もうまい,子どもの動かし方がうまく指示も的確,スキのない授業。
Q11.教師を経験してきた中で失敗したことはありますか?
A.たくさんある。失敗したときのことを考えると…
- 少し経験を積み,慣れてきて“自分はできる”と悪い意味で天狗になっていた。
- 「相談」を怠り,自分だけでなんとかしようとしていた。
Q12.一貫したビジョンが大切という話があったが具体的には?
A.今年の一年生には,新学期初めの学活で“今年は挑戦の年だ!なんでもいいからがむしゃらに色んなことに挑戦してみよう!”と伝えた。
➡自分の言葉でしっかり考えておくと◎
最後に
H先生からのメッセージです。
このサイトをみているみなさん、教員0年目サークルに参加しているみなさんは、きっと素晴らしい先生になると思います。
それは学ぶ姿勢がすごくあると思うから。自分の不安を解消するため、学ぶためなどそれぞれの目的のために行動していますね。これはみなさんにとっては当たり前かもしれないけれど,自分の時間を投資してこのような行動をとったりすることは,すべての人ができることではありません。
学び続ける先生の姿は,必ず子どもたちの信頼へとつながっていきます。初めからなんでもできるわけではないけれど,少しずつステップアップしていく力があるといえるのではないでしょうか。
仕事ができるか,子どもや保護者と上手くやっていけるかなど,不安なこともたくさんあるるでしょう。(例えば、見通しが立たない、スキルがまだない、仲間がまだいない…など)しかし、不安な要素は誰にでも当たり前にあるもの。どんなに仕事を続けていても不安なことはたくさんあります。そうした中でも,不安との付き合い方や行動指針など、たくさんの引き出しをもっているといいと思います。
H先生からのメッセージ、とても元気をもらえます。ありがとうございます。